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  • 全146項目のうち、酒を造る方法が51項目で35%に達するが、これは当時の上流層家庭主婦がする仕事の中で酒の製造の比重がだいぶ大きかったということを物語っている。すなわち、接客が重要な徳目であったことを物語っている。
  • 桃保存法や茄子、鮑保存法などを見れば、冷蔵庫がなかった時期、先祖たちがどのように食べ物を保管したのか知ることができる。また、旬でない山菜を使う方法などを見れば、ビニールハウス栽培のような方法で冬季にも野菜や果物を食べたことが分かる。
  • 餃子や麺も材料や形によりいろいろあって、おかずも多様だ。さくらんぼと砂糖を煮つめて凝固させたゼリーのような食べ物もある。肉類の中には牛肉より犬の肉と雉肉料理が多い。農作業に牛が貴重に使われた時代、犬と雉が牛肉の代わりをしたことが分かる。

年々歳々代を継ぎ、伝わってくる伝統の飲食。ここに、我が民族の固有の味と粋があります。

  • 朝鮮時代、張得萬(1684~1764)などが描いた「耆社慶会帖」を見れば、宮中宴会の食膳に「飲食知味方」で紹介する料理が見られる。特に、鼈湯と呼ばれるスッポンスープや中国王室でも貴重だった熊掌、ナマコやアワビなどの調理法があったことから見て、宮で食べた料理をまた家で再現して珍味として食べたことが分かる。
  • 唐辛子は韓国の文献中、「芝峰類説(1613)」で初めて紹介されたが、「飲食知味方」には唐辛子の記録が出てこない点から見て、当時ここまでは唐辛子が伝播していないことが分かる。また、辛味を出す調味料に山椒やコショウ、からしなどを使い、ニンニクより生姜を多く使ったことが分かる。
  • 肉類、海産物、野菜などを活用した「ヌルミ」がたくさん出てくるが、これは現在の小麦粉を着せて焼くヌルム炙の原形と見られる。今はほとんどなくなったが、冬瓜や胡瓜で作った料理も広く食用されたことが分かる。卵料理は卵湯と鶏卵湯の二種類だが、半熟の卵を沸いているお湯やスープに添えて酢を加えたもので今でも伝来している料理だ。
  • 飲食知味方には「マッチルパンムン」と書かれているところが17ヶ所ある。これは「マッチルという村の調理法」を示すもので、ここで「マッチル」は張桂香先生の実家(母が住んでいた醴泉地域)の村の調理法を意味すると見られる。
  • 韓国料理で格好をつける役割をするものをウッキ、装飾またはコミョンというが、飲食知味方では「キョテ」と呼んでいて興味深い。 また、料理を描写する多様な言葉の中でも特に「味が妙だ」という表現がしばしば登場する。強火を「辛い火」と表現して、腐敗した肉を「きつい肉」と表現したのもおもしろい。また、当時にも囲碁が人気があったのか「碁を打つように一つ一つひっくり返して」という表現も異彩を放つ。それだけでなく、私たちの先祖は料理の名前をつける時も美しい比喩を添えた。「石榴湯」は餃子の形がまるで石榴のように美しいことから付けた名前だ。「竹葉酒」という酒の名前も色が竹の葉のようで味が香しいことから由来した。また、百花酒という酒も出てくるが、これは百種類の花を入れた酒ではないが、酒の味が百花の香りのようにほのかなことから付けられた。古典を読む時、言語の味がまた他の香りをもたらすということができるならば、飲食知味方こそ古典の中で最も香しい本といえるだろう。